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debsy 3rin

「はい。皆もそう申しております故」

「はい。皆もそう申しております故」

 

「直に自分の目で確かめた訳でもないのに、そなたは皆の言葉をそのまま信じるのか?」

 

「それは

 

「私はな、殿が毎日遊んでいるだけのようには、思えないのです。

 

身に帯びている物、為()されることの一つにしろ、そこにはあのお方なりの理由があられた。

 

もしや日々の野駆けや山林での狩りも、https://www.easycorp.com.hk/en/notary 何かお考えがあって為さっている事やもしれぬ」

 

「ではもしも、何のお考えもなかった時には如何なされまする?」

 

三保野の問いに濃姫は力強くかぶりを振った。

 

「それは有り得ぬ。きっと何か理由があるはずじゃ」

 

「どうしてそう言い切れるのです?」

 

「私の夫は、うつけはうつけでも、ただのうつけではないからです」

 

姫の整った口元に、柔和な笑みが広がった。

 

そして翌朝の五つ刻(午前8時頃)

 

「おい、飯が足らぬぞ!早ようつげ!」

 

は、はい!ただ今!」

 

濃姫の御座所の居間では、ガツガツと朝餉(あさげ)を食らう信長の姿があった。

 

三保野は給仕役となり、御櫃の中の白飯をいそいそと碗についでは信長に手渡してゆく。

 

 

「殿。そのように早食いばかりなされていては、身体に良うありませぬよ」

 

傍らに控えていた濃姫が軽く窘めるも、信長は飯を食らうその手を一向に休めない。

 

「しっかり噛んで飲み込んでおる!案ずるな!」

 

「いえ、そういう事ではなく」

 

おい何じゃ!茶が出ておらぬぞ!濃、茶を入れい!」

 

信長は口に飯をかきこみつつ命じた。

 

濃姫は嘆息を漏らしながらも、お菜津から湯飲みと給水を受け取ると

 

「ともかく、お食事はごゆっくり召し上がられませ。喉や胸に詰まったりしては事です故」

 

言いつつ湯飲みに茶を注ぎ、信長の前に差し置いた。

「何じゃ。 儂がここに飯を食いに参るようになった途端、もう妻気取りか?」

 

「気取っているのではなく、私は正真正銘あなた様の妻でございます」

 

「言うたであろう? 儂はまだそなたを妻とは認めておらぬ」

 

「されど濃は既に、あなた様を夫と思うておりますよ」

 

「そなたの勝手など知らぬ」

 

信長がおざなりに告げると

 

……そうそう、殿。私本日は萬松寺の方へ参ります故、昼過ぎまで留守を致しまする」

 

濃姫はふと思い出したような口調で言った。

 

「は? 萬松寺?」

 

「ええ。ですから昼の御膳は御自室でお召し上がり下さいませ」

 

「飯の話は良い。何故の理由でそのような所へ参る?」

 

「そのような所とは仮にも織田家の菩提寺ではございませぬか」

 

「訊いていることに答えよ。何故参る?」

「寺へ参るのですから無論参詣にございます。大殿様が建立なされた織田の菩提寺を、一目見ておきたいと思いまして」

 

「それだけか?」

 

「御開山である大殿様の叔父上・大雲永瑞和尚様にもご挨拶致しとうございます故」

 

「ふーん」

 

「私が参っては不都合がございますか?」

 

「いいや。不都合どころか殊勝な心がけじゃと思うぞ」

 

「畏れ入りまする」

 

「それが他意のなき参詣ならばな」

 

!?

 

時ならぬ萬松寺参詣を不審に思っているのか、信長は冷やかに呟いた。

 

 

「ふーっ、食った食った。……昼はおらぬと申しておったな? ならば夜にまた来る故、飯と風呂の用意を頼む」

 

「ははい」

 

姫が項垂れると、信長は刀を持って速やかに居間から出て行った。

 

何て察しの良いお方──織田信長、ますます侮れぬ

 

 

濃姫は焦りに顔面を強張らせながらも、これで殿の本性を暴くのがより楽しみになったと、

 

自身の足による信長の追跡調査に、更に期待を膨らませているのだった。

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