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debsy 3rin

家に置いてけぼりを食らった三

家に置いてけぼりを食らった三津は言い付け通り何もせずぼーっとしていた。

寝不足で頭が働かない。

 

 

『昼餉は今日も食べに帰って来てくれるかなぁ……。』

 

 

よく分からないもやもやを抱えたまま一人で家に居るのは息が詰まりそうで,外に出たい衝動に駆られる。

 

 

『ちょっとだけ出てもいいかな……。いや,また何かあったら今度こそ呆れて嫌われるかもしらへん……。』 https://www.easycorp.com.hk/en/notary

 

 

いっそ眠れたらいいのに寝不足の癖に脳は何故か寝るのを拒む。

目の奥が痛いような頭が痛いような,何とも言えない不快感を味わいながらごろごろ転がって時間が過ぎるのを待った。

 

 

ようやくうつらうつら瞼が下がろうとしていた時に桂が戻って来た。

重い体を起こして出迎えに行った。

 

 

「お帰りなさい。」

 

 

「ただいま。ゆっくり出来なかった?あんまり顔色が良くない。」

 

 

心配そうに眉尻を下げられてしまい,三津はそんなに?と両手を頬に当てた。

 

 

「寝るまで隣に居てあげるよ。おいで。」

 

 

桂は三津の手を引いて寝床へ連れて行き横にさせた。

 

 

「あの大丈夫ですから……。」

 

 

「そう見えないよ?いいからおやすみ。」

 

 

優しい声で囁いておでこに唇を当てた。

温かくて柔らかい感触に三津のまつ毛は震えた。

 

 

桂はくすりと笑い頬にも口付けた。鼻先が当たる距離。

三津は堪らなくなって桂の顔を両手で挟んで自ら唇を重ねに行った。

 

 

「今日は大胆だね。誘ってるの?」

 

 

くすくす笑って見下ろされた三津は耳まで真っ赤にして黙り込んだ。

 

 

「だんまりは狡いな。何か言ってよ。」

 

 

「小五郎さんに触れたかっただけです……。」

 

 

そう言って顔を背けた。だから桂の顔がにやけきってるのに気付かない。

 

 

「それだけ?それで満たされた?」

 

 

意地悪く囁やけば背けた顔は不貞腐れた様な表情で足りない……と呟いた。

 

 

「じゃあ満たしてあげよう。でもいいの?まだこんなに明るいよ?恥ずかしくない?」

 

 

そう言いながらもちゃっかり三津に跨って主導権を握る。

 

 

『少し苛め過ぎたかな。』

 

 

顔を真っ赤にした三津はぎゅっと目を瞑って下唇を噛み締めていた。

 

 

『でもこれは罰だからね。焦らした分もっと欲しがってくれてもいいのに。

まぁいい。これからもっと教え込めば。』

 

 

桂が不敵に笑ったのを三津は知らない。『何でこんなに体が変なんやろ……。寝不足やから?』

 

 

いつも以上に桂に触れたいし触れられたい。

何で?何で?と考えても思考は全く機能しない。

それを見透かすように桂がそっと耳元で囁く。

 

 

「何も考えなくていいよ。」

 

 

『そっか。考えなくていいんや。』

 

 

それからはただ夢中で桂にしがみついた。いつも頭の中を埋め尽くす羞恥心はすっかり何処かへ消えてった。

 

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

全体力を奪われたと思うぐらい疲弊した三津の顔を,こちらはスッキリとした満面の笑みで覗き込む。

 

 

「あんまり大丈夫じゃないです……。」

 

 

今更羞恥心が帰った来た。

こんな真っ昼間から欲望のままに無我夢中で求め合って。

一体自分はどうなってしまったんだ。

 

 

「やっと三津の本能の部分を見た気がするね。」

 

 

「え?そうなんですか?」

 

 

いつもどーんと構えていた理性は羞恥心と共に行方知れずで,感情を抑える責任者不在だった。

だからこうなったのかなと変に冷静に考えていた。

 

 

「お昼食べたら一緒に藩邸に来るかい?悪ガキ共が退屈そうだ。」

 

 

いい気味だけどと喉を鳴らした。

 

 

「楽しそうに作戦立ててましたからね。手合わせ見せてもらえるなら行きたいです。」

 

 

あの三人が何を企んでるかも興味がある。

くすくす笑ってじゃあ昼餉にしましょうかと怠い体を起こして身支度を整えた。

 

 

昼餉を食べながら三津は三人が何故悪巧みをしだしたのか説明した。

 

 

「なるほどね。多分一対一じゃ一本も取れないと思ったんだろうが買い被り過ぎだな。

だが実際複数人に囲まれるのは多々あるから相手してみるかね。」

 

 

『あの三人が頭を使えば普通の手合わせにはならないだろうな。』

 

 

穏やかな笑みを見せつつ,頭の中で戦略を立てた。

腹ごなしには丁度いい運動になる。

 

 

 

 

 

「稔麿!玄瑞!九一!庭に出なさい!受けて立つ!」

 

 

藩邸に戻って廊下から声を掛ければ三ヶ所の障子が同時にすぱんっ!と開いた。

 

 

「退屈してたんですよ。ありがとうございます。」

 

 

『めっちゃ悪い顔してる。』

 

 

にんまり笑う吉田に三津はどことなく恐怖を感じた。

 

 

「では三津さんはこれ持って見ててくださいね。」

 

 

にこにこと近付いて来た久坂は三津に木の箱を押し付けた。

よく分からないがそれを大事に抱えて頷いた。

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